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【開催報告】第1回 有田川町医療的ケア児等支援事業研修会を開催しました!

活動報告2026.09.03

令和8年9月3日(木)、きびドーム多目的研修室にて「第1回 医療的ケア児等支援事業研修会」を開催しました。医療的ケアが必要な子どもたちとそのご家族が、地域で安心して笑顔で暮らせる町を目指し、支援に関わる多くの方にご参加いただき、温かい学びの場となりました。

■ 第1回研修のハイライト:子どもが持つ「育つ力」を信じる

今回は『医療的ケア児の基礎知識と支援のポイント』をテーマに、一般社団法人幹・一般社団法人幹らんど 代表理事の丸山 美智子 氏(看護師・公認心理師)を講師にお招きしました。制度の背景から、看護および心理の専門的な視点に基づく日々の支援のあり方まで、幅広くお話しいただきました。

  • 医療的ケア児支援法の制定から改正に向けた動向 支援の土台となる「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が制定され、国や自治体の支援体制整備が責務と位置づけられたことの意義について解説がありました。さらに、施行後の現場の実情を踏まえた法改正に向けた最新の動向にも触れられ、制度の変遷を正しく理解することが、現場でのより適切な支援体制の構築に直結することが共有されました。
  • 【印象的な事例】「介入」ではなく、本人の意思を尊重する「支援」 丸山氏からは、ある医療的ケア児の印象的な実例が紹介されました。大人が先回りして全ての動作を補助(介入)するのではなく、子どものわずかな視線の動きや表情の変化といったサインを見守り、自ら手を伸ばそうとする意思を待つ「支援」へと切り替えたケースです。その結果、子ども自身が自発的に周囲へ関心を向け、笑顔や意思表示が格段に増えたというお話は、「子どもの育つ力を信じて待つ」ことの本来の意義を参加者に深く問いかけるものでした。
  • 過干渉にならず「待つ」支援の重要性 大人が良かれと思って先回りしすぎることは、子ども自身が試行錯誤を通じて「自分でできた」と感じる機会の損失につながります。支援者には、時には手出しを堪えて見守り、子どもが自ら育とうとする力や意思を発信するのを「待つ」姿勢が求められます。これが自己肯定感や自発性を育む第一歩となることが紹介されました。
  • 「見え方」や「聞こえ方」の適切なサポートが成長の土台に 医療的ケア児への支援において、感覚器(視覚・聴覚など)への適切なアプローチは極めて重要です。体に合った眼鏡等で視力を正しく矯正し、外界からの情報を適切に受け取れるようにすることが、結果として首の座りや姿勢の安定、さらには周囲への興味関心など、日々の発達・成長に直接的に作用するという具体的な支援エピソードが共有されました。
  • 施設から地域へ。社会との接点を生み出す「秋祭り」 支援の場を施設内に限定せず、地元の商店街へと飛び出して開催したイベント事例が紹介されました。地域住民がごく自然に子どもたちに歩み寄り、「可愛いね」と声をかけ合う姿は、町が目指す「みんなが混ざり合う社会」の具現化であり、地域社会への自然な参加を促す実践的なヒントとなりました。

■ 質疑応答:行事参加とインクルーシブ教育の考え方

研修の最後には、実際に現場で支援にあたるこども園の園長から、「日常は共に過ごせているが、行事でその子に合わせようとすると全体の進行が難しくなる。参加方法のヒントが欲しい」という実践的な質問が寄せられ、丸山講師より以下の回答がありました。

  • 全てを合わせる必要はない 行事の全プログラムを全員と同じように行うことだけがインクルーシブ教育ではありません。全てをその子に合わせる必要はないという前提を持つことが大切です。
  • できる部分だけの参加で十分 例えば「入場行進の一部だけを電動車椅子で参加する」など、他の子どもたちが活動する中で、その子がほんの少しでも参加できる場面を切り取ってあげるだけで十分な意味があります。
  • 周囲の子どもたちへの大きなプラス 医療的ケアが必要な子が同じ空間にいることは、周りの子どもたちにとって「命の大切さ」を感じたり、他者を思いやる心を育んだりする貴重な学びの機会になります。その子自身のためだけでなく、周りの子どものためにも共に過ごす意義があります。
  • 自然に混ざり合う日常がゴール 特別な行事で無理に合わせようとするのではなく、小さい頃から当たり前のように一緒に過ごし、「違和感のない日常」を作っていくこと自体が最も大切な支援の形です。

■ 第2回研修会のお知らせ

次回は、小児リハビリテーションの視点からさらに学びを深めます。詳細な日時や場所が決まり次第、訪問看護ステーションひかり公式Instagram等で改めてお知らせいたします。少しでもご関心のある方は、ぜひお気軽にご参加ください!

  • 予定講師: 小枩 武陛 先生 (相談支援事業所・児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援 リハビリ専科とんぼ倶楽部 / 甲南女子大学非常勤講師 / 専門理学療法士(スポーツ分野・教育分野) / 鍼灸師)
  • 予定内容: 医療的ケア児を支える制度と小児リハビリテーションの可能性

■ おわりに:地域で支え合う「プラットフォーム(連携基盤)」の構築へ

今回、有田川町で新たに開始する3つの事業は、医療的ケアが必要な方々に対するさまざまな支援をつなぐ「プラットフォーム(連携基盤)」作りを目的としています。

これまでも医療・福祉・教育など各分野の支援体制は存在していましたが、在宅で暮らす方が増えた現在、分野をまたぐ課題や制度の谷間により、十分な支援を受けられないケースが生じています。しかし、これは決してネガティブな側面だけではなく、障害や病気があっても「生まれ育った地域で暮らし続けられるようになった」という、医療や社会の進歩による前向きな変化でもあります。

令和3年に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」は、こうした方々の日常の幸せを守り、地域社会への参加を推進するためのものです。今年度から有田川町が取り組む支援のプラットフォームづくりも本法に基づくものであり、具体的に以下の3つを目的としています。

  • 居場所の支援 日中に安心して過ごせる場所の提供や、きょうだい児への支援
  • 支援者の養成 医療的ケアに対応できる専門職の育成と、顔の見えるネットワークの構築
  • 災害時等の支援 災害時対応マニュアルの作成など、直面する個別課題への専門的な支援

これらの取り組みを皆様と協力して進める中で、地域全体で支える実働的なプラットフォームの充実を図ってまいります。

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